国枝昌樹『シリア アサド政権の40年史』(平凡社新書)から、

米国政府は一九七九年以来、シリアをテロ支援国家として認定している。/国際社会では大多数の諸国が九・一一直後の〇一年九月に国連安保理で採択された、いかなる国もテロ行為を実行しても、支援しても、黙認してもならないとする国連安保理決議一三七三などに基づいて対応措置を採ってきている。だが、その決議にはテロとは何かに関する規定がない。シリア政府はこの決議がテロについての規定を避けた結果、テロの理解について曖昧さが残り、その結果、恣意的な適用が可能になるとして強く反対した。/シリアは、テロには強硬に反対する一方で、他国が自国の領土を占領しているとき、その占領に反対する行為はテロの範疇に入れるべきではないと主張する。/現在、米国政府はシリアがレバノンのヒズボッラとパレスチナのハマスを支援していることを、極めて深刻な懸念事柄だと非難している。

民衆蜂起以来、欧米諸国はアサド政権に対し制裁を重ね、アラブ連盟とその関係諸国も各種の制裁をシリアにかけている。これにたいしてシリア政府と関係者たちは、アルジャジーラやアルアラビーヤなどの報道機関が事実に反する報道を行うだけでなく、シリア政府の崩壊を狙う国際的陰謀の一翼を担って捏造報道も繰り返し、反政府運動を煽り続けている、国際社会はそのような偏向した報道を無批判的に受け入れていると声高に叫んでいる。彼らはこれらの制裁には正当な理由がなく、国民を苦しめるだけの誤った政策であり、シリアはこの国内外の危機を必ず乗り越え、さらに強靭な国に成長すると声を張り上げる。/そんな彼らの言い分には理由がないわけではない。/シリアはすでに三〇年間米国から経済制裁の対象とされ、〇四年以来その制裁がいっそう強化されている中で国民は耐え方を知っている。さらに、ハーフェズ・アサド時代の一九八〇年代は政治状況が暗く、国内経済は低迷し、外貨準備高は僅かに一週間分の輸入を賄うだけのレベルまで枯渇する時期を経験したが、それでもシリアはその危機を乗り越えた。シリア社会には抵抗力がある。

Kimra Iron's Ownd/鉄考書

木村鉄に才能はありません。 が、そこからしか考えることも書くことも、できません。  詩のように小説を。 小説のように詩を。 物語は、 理論として構成として構想として概念として。

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