寝てないで、ちゃんと話を聞いてもらえないかね。

 寝てなんかいないよ。

 寝てるよ。

 このところ寝てないものだから、そう見えるんだろう。

 寝てないのはおたがいさまだよ。

 だからそう見えるだけで、寝てるんじゃない。黙って、静かに、目を閉じて拝聴しているということだよ。

 ほんとかね。

 話を続けたまえ。

 聞いてくれないと、きみから話をはじめたというのに。

 続けることが大切なのだよ。

 長いものに巻かれればいいだけであるかのような圧倒的多数による与党によって戦争のおこなわれることが採決が強行されてしまった以上は、たとえパフォーマンスのような、歌詞だか台詞だかのようなものにすぎなかったのだとしても、その強行採決をくいとめる、ほんとうにくいとめるということで行動をおこしてきた以上は、わたしが、何らかの責任をとるべきだというのかね、きみは。

 聞いてるよ、ちゃんと。

 それとも、どういうことなのかね、きみは。

 責任をとるということがね、それほど悪いこととは思えないということでね。もちろんいったんは敗北を認めてのことになるとはいえ、しかしそれほどに弱気なことには、消極的なことにはならないんじゃないだろうか。それもひとつの抵抗になるんじゃないかということなんだがね、ろくに責任もとれない連中への、責任のとりかたも知らないような連中への抵抗として。

 それでは、随分と低次元な抵抗になるんじゃないかね。

 低次元であれ何であれ、いやであろうがなかろうが、それが自分の抵抗しているところなんだし、それが自分自身でもあるということだ。

 そうかね。

 しかし、わたしがきみに責任をとるべきだ、とったほうがいい、と考えたのはもしかしたら強行採決をくらうにあたってきみがこれまでの行動を諦めてしまって、これまでのすべてを終わらせてしまうんじゃないか、祭が終わったように、すべては祭にすぎなかったというように、そんな不安もなきにしもあらずだったからというところなんだがね。

 行動は、続ける。

 どうやら、そのようだ。

 強行採決が撤回されるまで行動はこれまでどおりに、つづける。

 そういうことならば、わたしの考えも改めざるをえないというものだよ。

 そうかね。

Kimra Iron's Ownd/鉄考書

木村鉄に才能はありません。 が、そこからしか考えることも書くことも、できません。  詩のように小説を。 小説のように詩を。 物語は、 理論として構成として構想として概念として。

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